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星の中。

 

 

歩くたび、床に足がぺたりと張り付いてから、離れる感じがある。

湿度が高くなってきた。外は薄い灰色で、少し重たい。

 

6月は、ふたつのプラネタリウムで演奏しました。

ひとつは新宿コズミックセンタープラネタリウム。西早稲田、駅の真横にある町中のプラネタリウム。色んな施設が入っている建物の中にあって、コンパクトで、親しみやすい。全面を観る形。

もうひとつは、少し遠かったけど茨城県つくばエキスポセンタープラネタリウム。とにかく大きい。会場は新宿の倍の大きさ。席が後ろにせり上がっていて、前の方の足元位から上へドームが広がっている。

 

一緒に演奏したのは、ピアニストの安保美希さん。

とある場所で出会い、流れでカフェに行って色々と話し込んで、意気投合。

柔らかくて天然で、美しい視点を持った文学少女。

 

「プラネタリウムで演奏するオファーを頂いたのですが、三田さん興味あるかなって。」

 

ありますとも。満点の星空の下で演奏できるなんて、なかなかない。

即返事した。

 

 

 

 

星や宇宙にまつわる音楽を集めたんだけど、安保さんの選曲は個人的にものすごくよかった。

だいたいこういう依頼演奏のお仕事では、年代やお客様に合わせて選曲してくるものなのだけど、彼女が出してきたのはドビュッシーの歌曲から始まり、吉松隆、そしてジョン・アダムス。

 

吉松隆の「プレイアデス舞曲集」、もともとはピアノソロの作品だけど、弦楽器やフルートと一緒にできるような楽譜もあって、それを今回はサックスでやることにした。

吉松隆と言えば、サックス界では『ファジーバードソナタ』とか、『サイバーバード協奏曲』とかそっちがとても有名なのだ。

そして、私は演奏したことはない。なんだかすごく輝きが強くて、まぶしくて、すこし避けていた。

 

私は吉松さんがピアノソロまで書いているなんてお恥ずかしながら知らなかった。

そんな「プレイアデス舞曲集」がとんでもなく美しく、繊細で…

ものすごく好きだった。

 

 

ジョン・アダムスの「Phrygian Gate」。ミニマルミュージック。ピアノソロで15分。

普通ピアノで万人向けに演奏するなら、ショパンとか、ドビュッシーの若いころの作品とか持ってくると思うけど、ここでミニマルを持ってくるのは安保さんのセンスを感じる。

一つずつ、そしてすこしずつ音が増えていって、今日もどこかで星が誕生するように、世界が広がっていく。

ピアノソロの間、私は椅子に座ってお客様と同じく演奏を聴いていた。

星の映像に合わせて広がっていく和音は、私の心臓を躍らせる。

 

面白いピアニストに出会ったなあ、と、心底思っていた。

 

 

後半はサックスらしくスターダストとか、星や月の名前のついたジャズや有名な曲をお届けしました。アダムスで張りつめた空気を換えるのは大事なことである。

 

プラネタリウムの映像も曲に合わせて都会の風景等を出してくださったりと、より楽しめるようにたくさん工夫してもらって、とてもありがたかった。

お客様もとても楽しめたようで、帰りにたくさんお声がけいただいた。

 

毎回思うことだけど、機会に感謝。

どちらの会場のスタッフさんも丁寧に対応してくださり、頭が上がらない...

本当にありがとうございました。

 

 

つくば本番当日、リハまでしゃべろうってなってラケルでお茶して、本番後もオムライス食べたいっていう私のワガママでまたラケルに行った。

だってラケル美味しいじゃん。

 

 

 

安保さんとは、実は自主公演で何かやろうと計画している。

お楽しみに。